大土肥の巨樹
函南町「巨樹名木美林ガイドブック」(函南町教育委員会)より
大土肥の巨樹を紹介いたします

目次

妙高寺のタブノキ(椨木)
妙高寺のイヌマキ(犬槙)
雷電神社のイヌシデ(犬四手)
ガイドブックのご紹介

妙高寺のタブノキ(椨木)
(クスノキ科) Machilus thumbergii 常緑高木 幹回り 3.00m 樹高 19.0m 
「巨樹名木美林ガイドブック」[15] 妙高寺のタブノキ(椨木) P36
拡大表示 (撮影HP製作者山本)
 来光川のほとり、函南の町を見下ろせる熱函道路沿いの高台に、大円山妙高寺は1444年(室町時代)の昔創られました。西風をもろに受けるということで防風林として植樹されたようです。江戸時代には、寺子屋としての役割も受け持ったそうで、子どもたちのにぎやかな声を聞きながらこの木も成長したわけです。
 暖地の沿海地に多く、大木は高さ30m、直径3.5mにもなります。樹皮は特徴的な暗褐色で、葉は枝先に集まってつき、長さ8〜15cmの倒卵状長楕円形で先端が少しつきでて厚い革質(かくしつ)で表面に光沢があります。5〜6月枝先に円錐花序(えんすいかじょ)に淡黄緑色の小さな花をつけ、果実は直径約1cmの球形で花被が残り7〜8月に黒紫色に熟します。
 秋になると「ミミズク」が決まってやって来て、「ゴロッチョホー」と鳴いて住民に親しまれています。

妙高寺のイヌマキ(犬槙)
(マキ科)Podocarpus macrophyllus 常緑高木 幹回り 2.25m 樹高 18.0m
「巨樹名木美林ガイドブック」[16] 妙高寺のイヌマキ(犬槙) P37
拡大表示(撮影HP製作者山本)
 タブノキと同様に防風林として植林されたようで、熱函道路からは幾分奥まったところに生え、あまり目立ちませんが樹高18mの堂々とした木です。イヌマキは県内ではマキの名前を使い、伊豆ではアスナロと呼ぶところもあるようです。
 暖地の山地に自生し、大木では高さ25m直径2m以上にもなります。
 5〜6月に開花し、雌雄異株です。雄花は円柱状、雌花は葉のつけ根に1個ずつつき                                                           
ます。若い果実は9〜10月に熟してきて、赤紫色をした花托(かたく)と呼ばれる上につきます。
花托は食べると、ほのかに甘い味がします。
 葉は密に互生し、長さ10〜15cmの線形となっています。樹皮は灰褐色で縦に浅く裂けます。

雷電神社のイヌシデ(犬四手)
(カバノキ科) Carpinus tschonoskii 常緑高木 幹回り 2.30m 樹高 16.0m
「巨樹名木美林ガイドブック」[17] 雷電神社のイヌシデ(犬四手) P38
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(撮影HP製作者山本)
 大土肥の雷竜神社はその昔、雷電権現といい、祭神は「火牟須比(ほむすび)の神」です。社は北向きだったといわれ、社の向かい側は熱海に行き来する道といわれていました(現在の熱海街道)。また、伊豆山神社の「一の大鳥居」として大名から町人までが下馬し拝礼したと伝えられ、いつの頃からか、集落(大鳥居)が大土肥という地名になったそうです。
 このイヌシデは別名ソロともいい、土地の人々がソノといって親しんできました。
おもに山地に生え高さ20mぐらいまでになり、老木になると、やや浅い裂け目ができます。若い枝や葉には毛が多く、その葉は互生し長さ4〜9cmの卵型または挟卵型で基部はまるいです。花は4〜5月に開き、花穂(かすい)は長さ4〜8cmで垂れ下がり、葉状の果苞(かほう)をややまばらにつけます。その果苞は長さ2〜3cmのいびつな披針形で長い毛がまばらにあります。

ガイドブックのご紹介
 中学生理科総合副読本
 函南町「巨樹名木美林ガイドブック」
 
 発行:函南町教育委員会
 第3版発効日:2003(平成15)4月1日 (初版1996年3月1日)
 編集:「中学生副読本」編集委員会

 函南町の樹木について詳しく書かれています。
 巨樹名木が53本、美林が11ヶ所紹介され、
 各小学校区ごとに「森と樹の探訪マップ」があり詳しく判るようになっていて、コースガイドまであります。